膀胱癌の体験3(日常生活)

オストメイトとの交流

 パウチの購入窓口で知り合ったK氏を通じてメーカーの催しへの参加や、そこでの人脈が発展して、飲み会、旅行と交際の輪が広がった。楽しく共に過ごすことをモットーにしている。

 これらの集まりが仲間同士の問題解決の場ともなっている。自分自身が病気を体験したことにより相手の痛みが多少分かるようになった気がする。駆け引きのない自然な付き合いのできる友人が沢山できて本当に嬉しい。

 自分の体験談が新しくオストメイトになった人に役立ったと実感できたときも、満ち足りた気持ちにさせられる。

 

サラリーマン生活

 初めの頃は釣りバンドをして出社した。ストーマが腫れもののようで触るのが怖かった。しかし、今では満員電車で揉まれても平気である。少しぐらい押されても袋(パウチ)が外れないことが分かったからである。

 失敗も多かった。会議中ふと下を見るとズボンが滲みている。大急ぎでトイレに駆け込み処置をする。あぐらをかいて酒宴に興じていると肌が冷たくなる。処置をして背広でカバーなんてこともある。

 親睦の宿泊旅行にも大いに気を遣う。仲間にも、他の宿泊客にもである。 

 

日常生活

 感染症が怖いので水分を沢山(2000CC/日以上)摂ることを心掛けている。就寝時には気を遣う。昼間のスタイルだと3時間置きに処置のために起きねばならない。病院スタイル(ベットで採尿袋をつないで寝る)だと寝返りが不自由になりがちである。

 私は後者であるが、流れを悪くすると横っ腹が痛くなって目を覚ます。昼間の生活は殆ど問題ない。ウォーキング、テニスなどはOK、水泳も挑戦したが水着に困る程度だ。

 

アフターケア

 3ヶ月に1回程度通院している。通常は尿の検査のみで、感染症を特に注意している。年に1回は腰部、胸部のCTスキャンで癌の再発、転移をチェックしている。 

 

7年目の浮気

 手術して7年が経過した。幸い癌の再発もなくストーマのヘルニアの心配もあまり無い。順調な経過である。しかし、人間とは我侭なものである。手術を受け入れるときは、これで長生きできるなら他には望みは何もないとまで思ったものである。

 しかし、今ではどうだろう、この袋さえ無ければ良いのにとか、モット別な選択肢があったのではないかとか思ってしまう。望みを叶えてくれたドクターには申し訳ない次第である。

 

11年目の憂鬱

  手術して10年が経過した。最近ストーマの周りが膨らんできて思春期の乳房のようにさえ見える。ヘルニアと言われるものだ。

 原因は腹筋が弱くなったからだ。だが、下手に腹筋を鍛える運動はできない。ストーマバンド(腹巻)で押さえることもできるが、胃を圧迫して気持ちが悪い。

 加齢と共に進行するであろうが、さて、どうしたものだろうか?

 

15年目の甘え

 手術して14年が経過した。ストーマ周りのヘルニアは益々成長している。いや、腹筋が弱くなった。生活に支障があるわけではない。だが、気になるのだ。

 欲を言えば限りがない。最近はスポーツクラブに通って水泳もやっているんだから良いではないか!

 

28年目の今

 おかげで元気です。まもなく80歳になります。